浄化槽は微生物の働きによって汚水を処理する設備で、
河川を汚さない為にも日頃の維持管理が重要です。
浄化槽法に基づき浄化槽の設置状況及び機能に関する検査を行います。
水質検査について
水質検査は、各単位装置の処理機能および処理水質の良否を判断する検査です。処理方式などで実施する項目が異なりますが、基本的には水素イオン濃度(pH)、溶存酸素量(DO)、透視度及び、生物化学的酸素要求量(BOD) の水質項目を検査します。
水素イオン濃度(pH)
pHとは、水溶液の性質をあらわすひとつの単位です。ちょうど長さをあらわすのに「m」(メートル)という単位があるように、水溶液の性質を知るために必要な単位なのです。では、pHは水溶液のどのような性質をあらわす単位なのでしょうか。
例えば、レモンのしぼり汁をなめてみると「すっぱい」味がします。また、石けん水はヌルヌルしてなめると少し「にがい」味がするはずです。このレモンのしぼり汁のpHは低い数値を示し、石けん水のpHは高い数値を示します。
下の図をご覧ください。中性はpH7、これより低い方を酸性、高い方をアルカリ性と呼びます。
図1. レモンの絞り汁と石けんのpH
つまり、pHとはこのような水溶液の性質(酸性・アルカリ性の程度)をあらわす単位なのです。
溶存酸素量(DO)
溶存酸素(Dissolved Oxygen)とは、水中に溶けている酸素(O2)のことで、有機物などの汚濁物質によって消費されるので溶存酸素量が高いほど、水質は良好とされます。
一般に魚介類が生存するためには3ppm以上、微生物が活動するためには2ppm以上が必要で、それ以下では悪臭が発生することがあります。ちなみに合併処理浄化槽では1ppm以上の溶存酸素が必要です。
透視度
透視度とは、試料の透明度の度合いを示すもので、試料を透視度計に満たし、上部から底部を透視し、底部の標識板の二重線が初めて明らかに見えるまで透視度計の底部から試料を流出させたときの水面の高さを表します。単位は水面の高さ(cm)ではなく(度)で表します。
生物化学的酸素要求量(BOD)
「生物化学的酸素要求量」(BOD = Biochemical Oxygen Demand )は、河川等から採取した試料を20℃、5日間暗所で培養し、その5日間に水中の有機物が好気性微生物により分解される過程で消費される水中の酸素量(溶存酸素量)のことで、河川等における汚濁の指標となっています。採取当日の酸素量と5日後の溶存酸素量の差が、微生物によって消費された酸素量となります。
微生物(バクテリア)が水中の汚濁物質(有機物)を分解するときには、人が呼吸をするように酸素を使います。
有機物による水質汚濁が進んでいる場合は、水中の有機物の量が多いため微生物の数が増殖し有機物を分解するときに消費する酸素量も多くなります。
一方、水がきれいな場合は、有機物の量が少ないので、微生物が消費する酸素量も少なくなります。
そこで、この有機物の量と微生物によって消費される酸素量の関係に着目し、微生物が有機物を分解するときに消費する酸素量をもって、水中の水質汚濁物質の量の指標としたものがBODです。
一般に、BODの数値が高い場合は、微生物が酸素をたくさん消費して有機物を分解している状態、即ち、水中に存在する有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁の程度が大きいことになります。
一方、清流などの場合は、水中の有機物の量が少ないため、BODの値は小さくなります。