2022.03.10No.167 2022年 3月号

クルマにも脱炭素社会に向けた取り組みを ~ゼロカーボン・ドライブ~
脱炭素社会とは
最近よく聞かれるようになった「脱炭素社会」という言葉。
脱炭素社会とは、地球温暖化の原因である温室効果ガス(CO₂等)の排出量を全体として実質ゼロにすることを目指す社会で、2020年10月、政府は2050年までに脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。
実質ゼロにするとは、省エネ等の取り組みによりCO₂排出量をできるだけ削減し、森林等のCO₂吸収量により実質ゼロにする(排出量と吸収量とを均衡させる)という意味です。
現在、様々な分野で脱炭素社会に向けた取り組みが行われており、私たちの生活の中でも身近なものになりつつあります。
車にも脱炭素に向けた取り組みが
そんな中、私たちの生活に欠かすことのできない車にも、脱炭素へ向けた様々な取り組みが行われています。
政府は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使って発電した電力と電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)を活用した、走行時のCO₂排出量をゼロにする「ゼロカーボン・ドライブ」を進めています。
また、2035年までに電動車の新車販売割合を100%にすることを目指しています。
電動車とは
ここでいう電動車とは、以下の4種類になります。
●ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)
・ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターの2つの動力源で走る。
●電気自動車(EV:Electric Vehicle)
・搭載したバッテリー(蓄電池)に外部から充電し、蓄えた電気でモー
ターを回転させて走る。
・充電は、公共施設、自動車販売店、コンビニ等に設置された、 全国約
19,000箇所の充電スタンドで行える。
また、専用のコンセントを設置すれば、家庭や事業所でも充電でき
る。
・販売車種:13社24種 金額:220~2200万円(※)

●プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)
・搭載したバッテリー(蓄電池)に外部から蓄えた電気でモー
ターを回転させるか、ガソリンでエンジンを動かして走るハ
イブリッド車。
・HVよりさらに燃費が良い。
・電気の充電方法は、EV同様。
・販売車種:10社48種 金額:290~2900万円(※)

●燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)
・充填した水素と空気中の酸素を反応させて、燃料電池で発電し、
その電気でモーターを回転させて走る。
・EV やPHEVは搭載しているバッテリーに外部から充電を行う
が、FCVはクルマの中で発電をしながらモーターを回して走る。
・水素の供給は、全国約150箇所の水素ステーションで行える。
・販売車種:3社4種 金額:650~780万円(※)

(※)環境省令和2年度第3次補正予算事業の対象車について整理。2021年9月時点。
電動車の普及状況
2017年時点の電動車の販売割合は約32%となっており、政府の2035年までに100%にするという目標には程遠く、普及にはまだまだ時間がかかりそうな印象があります。
また実際に私たち消費者も、特にEV、PHEV、FCVについてはなじみのない方も多いのではないでしょうか。

電動車のメリットとデメリット
以下に、電動車のメリット、デメリットをまとめてみました。
●メリット
・CO₂の排出量を抑えられる。
・燃費が良く、燃料費を安く抑えられる。
・災害時には、蓄電池として活用できる。
・走行音や振動が少ない。
●デメリット
・車両本体価格が高め。
・ガソリン車に比べて販売車種が少ない。
・充電に時間がかかり、充電場所も限られている。
このように、環境にやさしく、維持コストが抑えられる等のメリットはありますが、実際に導入となると、特にEV、PHEV、FCVについては、価格や充電場所の問題もあり、まだまだ普及には時間がかかるかもしれません。
ガソリン車でもできる取り組みを
これまで電動車について説明をしてきましたが、まだ多くの方がガソリン車を使用されているのではないでしょうか。
しかし、ガソリン車でも「運転技術」や「心がけ」で、燃料消費量や CO₂排出量を減らし、地球温暖化防止につなげることができます。
環境省が推奨する「エコドライブ10」は、脱炭素の為にガソリン車でも実践できる取り組みです。
●エコドライブ10
1. ふんわりアクセル「eスタート」
2. 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
3. 減速時は早めにアクセルを離そう
4. エアコンの使用は適切に
5. ムダなアイドリングはやめよう
6. 渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
7. タイヤの空気圧から始める点検・整備
8. 不要な荷物はおろそう
9. 走行の妨げとなる駐車はやめよう
10. 自分の燃費を把握しよう

時間や心にゆとりを持って運転することで、環境にもやさしく、交通事故の削減にもつな がります。
現在、軽自動車EVの開発等、電動車の開発が各社で進められており、今後は販売車種の充実が期待できそうです。
また、全国的に充電場所が増えていくことで、徐々に電動車の普及が進み、今後は車両買 い替え時の一つの選択肢になっていくのではないでしょうか。