2021.10.13No.166 2021年 10月号
サスティナブルファッションを暮らしに取り入れよう
サスティナブルファッションとは
私たちの毎日の生活に欠かせない、衣服。
現在アパレル業界では、衣服の製造や廃棄に石油や水などの大量の資源が使用され、環境への負荷が非常に大きいことが指摘されています。その解消策として、環境への負荷を考慮した取り組み「サスティナブルファッション」が少しずつですが、広がりつつあります。
「サスティナブルファッション」とは、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことを言います。
ちなみに、サスティナブル(sustainable)とは、「持続可能な」という意味の英語です。 最近テレビやインターネット等でもよく取り上げられ、耳にされた方も多いのではないでしょうか。
アパレル業界が抱える様々な問題
近年アパレル業界では、大量生産、大量廃棄が問題になっています。安く買い、流行のシーズンが終わったら廃棄するというサイクルが定着している消費者も少なくありません。
着なくなった衣服は、リサイクルショップやフリマアプリを利用したり、おさがりとして譲るなど、再利用するための様々な手段があります。
しかし、再利用される衣服より、ごみとして廃棄される衣服の方が多いのが現状で、年間約508,000トンもの衣服がごみとして廃棄されています。
衣服の原料となる素材には、様々な種類があり、大きく分けると「天然繊維」と「化学繊維」に分けられます。
【 天然繊維 】
植物や動物などの天然のものから作られたもの
・綿
・麻
・ウール
・絹 等
【 化学繊維 】
石油などから人工的に作られたもの
・ポリエステル
・ナイロン
・アクリル
・レーヨン 等
化学繊維のポリエステルなどは、主に石油が原料となっており、作られる際に多くのCO2が排出されます。原材料調達から製造までに排出されるCO2の量は、年間約90,000キロトン(1キロトン=1,000トン)、衣服1着あたりに換算すると、約25.5kgといわれています。 一方、天然繊維は環境に害がないと思われがちですが、綿等を栽培する際の化学肥料や農薬の使用による土壌汚染等が懸念され、環境への負荷はゼロではありません。
また、焼却・埋め立て処分される衣服は、年間48万トン。焼却・埋め立ての際にもCO2が排出され、生産から廃棄に至るまで、どの過程においても環境への負荷がかかっているのです。
新たな取り組みが行われています
そのような問題を改善していくため、アパレル業界では様々な取り組みが行われています。
写真は、使用済みのペットボトルを再生して作られた作業服と傘です。
一度ゴミとして廃棄されたものということもあり、抵抗がある方もいるかもしれません が、見た目や手触りなど、普通のものとほとんど変わりがありません。
その他にも、
・海洋プラスチックゴミを回収、分別、繊維を再生し、生地として生成したもの
・生地の染色時に使う水の量を大幅に削減して生成されたもの
・化学肥料や農薬を使わずに栽培されたオーガニックコットンを使用したもの
など、様々な方法で環境への負荷を考慮して作られたものが、実際に販売されていま す。
また、衣服の生産・販売以外にも、店頭で不要な衣服を回収し、リユースやリサイクルを行っている企業・団体や、月額制のファッションレンタルサービスを行う企業など、衣服の再利用についても、様々な取り組みが行われています。
私たち消費者にできることは …
アパレル業界では、既に様々な取り組みが行われてい ますが、私たち消費者にもできることはたくさんあります。
・今持っている衣服を長く大切に着る
・丈夫で飽きのこない、着まわしやすいデザインの衣服
を選ぶ
・自分に必要な衣服の量を把握する
・本当に必要なものを、必要になったら買う
・環境への負荷に考慮して作られたものを選んでみる
など、小さなことかもしれませんが、これら一つ一つが環境への負荷を減らすことに繋がります。
自分が今持っている衣服を見直してみると、改善できることが見えてくるかもしれません。
難しく考えずに、まずは自分にできる身近なことを見つけて始めてみませんか。