ecoみやざき

自然保護

霧島錦江湾国立公園・霧島地域
自然に親しみ、自然の魅力を知る

火山の影響を受け、多様な自然環境が広がる霧島山。 えびの高原にある『えびのエコミュージアムセンター』では、霧島山の自然を守り続けるために、その魅力を発信し続けています。

火山活動の影響を受ける多様な自然環境

 宮崎、鹿児島の両県にまたがる霧島錦江湾国立公園。20以上の火山が集まる霧島地域と、始良カルデラや桜島、開聞岳からなる錦江湾地域からなる、火山活動を起源とする景観が特色の公園です。

   えびのエコミュージアムセンターは、霧島錦江湾国立公園のうち、特に霧島地域の自然を、映像やパネル、標本などで紹介する自然博物館です。
 「霧島山は昔から信仰の対象となってきたところであり、日本で最も古い国立公園の1つです。そのため本来の自然の姿がよく残されているんですよ」と話すのは、えびのエコミュージアムセンターで解説員を勤める柳田蓉子さん。

 霧島山の自然環境は実に多様で、南九州で典型的なイチイガシやタブなどの照葉樹林、アカマツやツガなどの針葉樹林、寒い地方でよく見られるブナやミズナラなどの落葉広葉樹林が、標高によって積み重なる、垂直分布が形成されています。また、同じ標高であっても、最近火山活動の影響を受けた場所と、比較的古い火山とで生育する植物が異なる水平分布も形成されています。

 「霧島山のブナは、約2万年前の氷期の生き残りなんです。気候の変動にともなって、生息域を標高の高い場所へ移し、今では標高1000メートル以上の場所に生息しています。水平分布を見てみると、硫黄山の火山活動の影響を強く受けているえびの高原一帯は、アカマツやミヤマキリシマなどを中心とした、植生遷移の初期の段階です。同じ標高でも、比較的古い火山である大浪池には豊かな森が広がっています。」と柳田さん。
 現在、霧島山には山肌を鮮やかなピンク色に染めるミヤマキリシマを始め、約1300種の植物が育まれています。

ありのままの自然を守り続けるために

 霧島山は、登山客やハイカーなど、一年中多くの人が訪れる人気の観光地でもあります。柳田さんを始め、えびのエコミュージアムセンターのスタッフのみなさんは、登山道の整備や清掃活動も行っているのですが、人間が知らず知らずの間に行うちょっとしたことが、自然に大きな影響を与えるのだそうです。
 「えびの高原一帯にはたくさんの鹿が生息しています。車を運転していても、鹿に出くわすことがあると思いますが、この鹿たち、実は、人間から餌をもらえることがわかっていて、人出の多いえびの高原に居着いているんです。
 当然、いつもいつも餌をもらえるわけではありませんから、餌をくれる人が現れるのを待っている間に、この辺りの植物を食べてしまうんです。
 この鹿による食害が、今大きな問題となっています。世界中で霧島山にしかないノカイドウの95%が、えびの高原に自生しているのですが、食害によって絶滅の危機に瀕しているんですよ」と柳田さん。
 ゴミを持ち帰る、植物を採取しない、野生動物に餌を与えない。気をつければ誰もができる、ちょっとしたことが、霧島山の自然を守ることにつながるのです。