ecoみやざき 環境ひむかNo.64 2006夏号 HOME 環境保全 自然保護
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高鍋湿原人工と天然の中間にある自然
 夏に咲く真っ白なサギソウ、ミズギボウシ、食虫植物のタヌキモ、ミミカキグサ。飛び交うハッチョウトン ボ、ベニトンボ。秋の終わりには淡い黄色のスイラン、ノシメトンボ。多くの命を育む高鍋湿原は、まだ40年ほどの若い湿原。わずかな時間が作り上げた自然の力、そこには自然を見守る人の力もありました。
高鍋湿原

「ここは3月ごろになると黄色いサワオグルマの花が一斉に咲いて、きれいですよ」と、高鍋湿原の西部湿原と呼ばれる一角を指さす高鍋湿原保全会顧問の岩村進さん。そこは夏の間、日本最小のハッチョウトンボをはじめ、いろんな種類のトンボたちが飛び交うあたり。湿原が閉園となる冬の間は、岩村さんらボランティアの手によってきれいに草が刈られ、夏場はわからない湧水点なども見ることができます。

 高鍋湿原は町の西部の海抜約60メートルの高台に位置しています。始めから湿原だった訳ではなく、現在のような姿になってからまだ40年ほど。きっかけは宮田川の氾濫を防ぐため、昭和37〜42年に行われた県営高鍋防災ダム工事でした。工事の土取場で、表土を深く削られた所に周辺の林や沢から水が流れ込んで湿原を造っていったのです。広さは、宮田川を挟んで東部1万2800平方メートル、西部湿原1万9000平方メートルです。

「ここは7割が湿地、3割が乾燥地。それぞれに適した植物が生えていて、確認されているのは約300種類。私も26年目ですが、年間340日くらい通ううちに284種はわかるようになりました」と言われる岩村さんは、訪れる人へのガイドボランティアを務めることもあります。
「高鍋湿原は自然と人工が混在する場所といえるでしょう。始まりはダム工事でも、そこに安定した水の供給があったために、わずかな時間でこんな素晴らしい湿原ができあがったんです」

 しかし、そのまま放置されていたら現在の姿はなかったのかもしれません。人の手で背の高い草を刈り、低層の植物に日が当たるようになって湿地を好む植物が増えてきたのです。同時に、珍しい植物の盗掘も相次ぐようになり、閉鎖しようとした町に対し、岩村さんらは「自然の姿を見てもらうことが保護につながる」と、公開することで保護する方法を訴えました。

ハッチョウトンボ「今、同じように草を刈っているように見えるでしょう? 実は場所によって違うんですよ。トンボがいる池の周辺は温度を保つために長めに刈ってある。日当たりを好む植物がたくさんある場所は短く刈ってあったり。私たちもここの動植物を知ることでもっといい保護ができるようになりたい。その思いを、ここを訪れる人たちにも伝えたい」イラスト

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