ヒメボタルの舞う森を次世代に

きっかけは御陵墓(ごりょうぼ)の森の生息地

 ヒメボタルは森に生息する陸生のホタルです。西都原古墳群周辺の森にはヒメボタルの貴重な生息地が残っています。中でも()()()(づか)()()()(づか)があり宮内庁の(りょう)()参考地となっている森では、5月、無数の光が飛び交い、幻想的な光景を見ることができます。西都原で生まれ、子どもの頃は庭に迷い込んでくる光にワクワクしたという「西都原ひめ蛍を守る会」会長の吉野順子さん。10年ほど前、(りょう)()参考地の前で子どもの頃以来初めて、光の大群を目にしました。美しいヒメボタルを多くの人に知ってほしいと観賞会を開催したことで、保護の必要性を感じるようになった吉野さんに共感した人たちが集まり、2018年に「西都原ひめ蛍を守る会」を結成。保護活動を開始しました。

貴重な生息環境を守る活動

 ヒメボタルの繁殖期は5月中旬頃の約2週間。繁殖期、他の光が邪魔するとオスはメスの光を見つけることができません。月の光でさえも影響を与えるといわれます。ヒメボタルに必要なのは、湿った森と暗闇。シイなどの樹木に覆われた(りょう)()参考地内は、1年を通して日光や月光が遮られて程よい環境が保たれ、ヒメボタルにとって最適の場所となっています。一方、(りょう)()参考地前の道路は市民の生活道路。夜間の車のライトはヒメボタルに大きな影響を及ぼします。
 繁殖期の期間中は、行政や警察、警備会社に協力を頼み、ヒメボタルの活動が活発になる19時から21時の間は(りょう)()参考地前の道路を通行止めにします。会員と有志の観賞者が街灯やトイレの窓などにネットを取り付けて遮光を徹底します。観賞マナーの啓発にも力を入れ、観賞者には光を発するカメラの使用禁止など、マナーを詳しく説明します。

森を再生し、ヒメボタルを呼び戻したい

「西都原ひめ蛍を守る会」は2020年から西都原運動公園近くの民有地で森づくりに取り組んでいます。倒木により荒れた山を整備してクヌギやシイなどを植樹。そこはもともと、ヒメボタルが生息していた場所です。
 ヒメボタルのエサは、オカチョウジガイなど、米粒ほどの大きさの陸生巻き貝の稚貝。これらの貝は、腐葉土化した落ち葉などをエサにします。樹木が育って貝が増え、ヒメボタルが戻ってくることを願い、同会は草刈りなどの手入れに奮闘しています。
 生態を知ってもらうことは保護の第一歩だと考え、調査や学習会も実施しています。ヒメボタルとオカチョウジガイの飼育にも挑戦しています。育ててみることで、小さな命が生き延びることの厳しさを思い知ったと、会員の皆さんは言います。
 「西都原は身近にヒメボタルを見ることのできる貴重な場所。生息地を守っていきたい」と吉野さん。活動を維持するため、会員を広く募集しています。「どこに住んでいても、その人なりの関わり方ができます。一緒にヒメボタルを守りましょう」と呼び掛けています。

問合せ:. himemamoru@yahoo.co.jp

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