宮崎市加江田の中島地区。山の麓に集落があり、周囲には田んぼが広がります。「里山」を思わせる懐かしい風景です。しかし、山のほとん どはスギの人工林で、伐採後の荒た山肌が目立つ場所もあります。山の所有者の高齢化が進み、伐採後に植樹が進まない現状があるからです。そんな光景を目の当たりにして、「子どもたちに豊かな森を見せてあげたい。」と自身も3歳の娘を持つ岡さんは植樹活動を始めました。岡さんは養蜂家であるイタリア人の夫と4年前に宮崎に移住。自然のままの宮崎産蜂蜜を製造販売しています。ミツバチには花がたくさん咲く豊かな自然が必要です。また、川や沢の水が汚染されていれば、その水を飲んだ小さなミツバチは多大な影響を受けてしまいます。養蜂をやっているからこそ感じる、自然環境への危惧ぐ。生態系豊かで、清らかな水を生み出す森を取り戻もどしたいという思いは強くなっていきました。農業を営む矢野祐春さんとの出会いも大きなきっかけでした。植樹活動の場として持ち山を提供した矢野さんは、早期水稲稲作が中心のこの地域で普通作を行っています。目指すのは有機農法。例えば田んぼには肥料となるレンゲを植え、農薬を使用しない昔ながらの農業です。森にミツバチや昆虫が増えれば害虫を退治してくれるので、農薬の使用が少なくなります。また、受粉活動を通じて農作物も元気になります。森と農業は深く関わっているのです。「レンゲ畑が広がるのどかな風景を取り戻したい」と思い描く矢野さんと岡さんの思いがつながったのです。「ミツバチは受粉によって私たちの食卓を支えてくれる大きな存在。食物の3分の1、植物の70%はミツバチの受粉によってできているといわれています。」と岡さん。ミツバチが減ることは私たちの食生活に直結しているのです。ミツバチについて知ると、環境の変化が私たちの生活に大きく影響することが分かります。


市民グループを立ち上げ、宮崎大学と共催で農学部森林緑地環境科学 科教授による森とミツバチについて学ぶ講座を実施し。2019年2月に植樹を行いました。「宮崎県森林づくり活動支援事業」の補助金と「県民1人1本みんなで植樹推進事業」の苗木ぎ提供事業を活用し、学生や留学生、市民など37名が参加しました。みつばちの森の特徴は、樹種が多いこと。1ヘクタールの山に植えた木は24種類1055本。サザンカやヤブツバキなどの常緑樹、ヤマザクラやモミジなどの落葉樹、柿や梅、栗などの果樹も植えました。樹種が多いほど、生物多様性のある森になるからです。森づくりには長い歳月がかかりますが、ボランティアの力も借りて下刈りなどの管理を地道に行っていく予定です。矢野さん達は将来、遊歩道をつくり子どもたちが遊べる森にしたいと夢を膨らませています。一年を通していろんな花が咲き、実がなり、虫が集まる、賑やかで彩り豊かな森。そして麓にはレンゲ畑が広がる風景を想像するとワクワクしてきます。「ミツバチの世界を語ることで環境教育に積極的に関わっていきたい。」と岡さん。今後はもっと地域と連携し、子どもたちが参加できる講座や森づくりを行っていきます。次回の植樹は来年2月の予定。参加者を募ります。

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