【大気環境】トリクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準の改定について

 平成30年11月19日、「ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準について」(平成9年2月環境庁告示第4号)の一部が改正され、トリクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準の改定が告示されました。

 今回の改定は、平成30年9月20日付けの中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次答申)」を踏まえたものです。

1.基準改定の経緯

 トリクロロエチレンの環境基準は、平成8年の中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第三次答申)」を踏まえ、平成9年に「年平均値0.2mg/m3以下」として設定されました。

 その後、平成26年に国際がん研究機関(IARC)がトリクロロエチレンの発がん分類をグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)から1(ヒトに対して発がん性がある)に見直したこと等を踏まえ、平成29年12月から中央審議会大気・騒音振動部会有害大気汚染健康リスク評価等専門委員会において審議がなされ、本年9月20日に中央環境審議会会長から環境大臣へ「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次答申)」が答申されました。

 今般のトリクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準の改定は、この答申を踏まえたものです。

2.改定の内容

 トリクロロエチレンによる大気の汚染に係る環境基準について、「1年平均値が0.2mg/m3以下であること」を「1年平均値が0.13mg/m3以下であること」に改定されました。

3.改定の考え方

 今般の改定は、第十一次答申を踏まえ、トリクロロエチレンの曝露による健康影響に関して、次に示す新たな知見を総合的に考慮して環境基準を改定したものです。

  1. 発がん性に関して、当初に環境基準の設定を行ったときは、ヒトに対する発がん性の疫学的証拠が必ずしも十分とは言えないと考えられていた。しかしながら、新たにヒトで腎臓がんのリスク増加が認められると考えられること、代謝物による発がんメカニズムにおいて、腎臓を標的とする代謝物の生成が、従来考えられていた高濃度曝露のみで起こりうるものではないと考えられること、遺伝子障害性の検討において、閾値ありの考え方から閾値の有無が判断できないとの考え方に変化してきたことから、ヒトの腎臓がんのリスクはより明確になったと考えられること。
  2. 発がん性以外の健康影響に関して、当初から関連性が認められていた神経系への影響(自覚的神経症状)のほか、新たに、重篤な症状も報告されている免疫系への影響(過敏症症候群)との関連性があると考えられること。

4.今後の対応

 平成28年度の有害大気汚染物質の常時監視における調査結果においては、今回定めた新たな基準を超える濃度のトリクロロエチレンは確認されておらず、環境基準は達成されています。

 国では、環境基準が今後とも達成されるよう、引き続き、地方公共団体との連携等により、トリクロロエチレンの大気中への排出抑制対策を講じることとしており、また、トリクロロエチレンを取り扱う施設が集積している地域において、地方公共団体が実施している排出抑制手法の検討の支援を行っていることとしています。

【参考:環境省ホームページ】