環境にやさしい農業を宮崎から待望の“土に還る農業用マルチフィルム”

株式会社FKグリーン
児湯郡新富町大字日置1552番地4

代表取締役の門脇文夫さん。環境保全、農業振興への思いは熱い
見た目は従来のマルチフィルムと同じ(作付け中のサトイモ)

県内で使われる農業用マルチフィルムは年間およそ2500トン(宮崎県農産園芸課の統計より概算)。このほとんどは石油系のフィルムで、使用済みマルチフィルムは産業廃棄物としてその処理が長年の問題となっている。

マルチフィルムは畑の畝に覆い被せて発芽・生長を促進する目的で広く使われているが、使用後のはぎ取り作業、廃棄処理にかかる費用の点で農家の負担は大きい。また、何年かかっても土に還ることがない。

「農家はしんどばっかり(辛い苦しいことばっかり)して金にならない。これは昔の言葉ではなく、今でもそう。宮崎の農業を応援したいという思いで、10年前から自然に還る農業用マルチフィルムの開発に取り組みました」と語る株式会社FKグリーン代表取締役の門脇文雄さん。

門脇さんは長年建築関係の仕事をし、大きなビルが数十年後には壊されてごみになることを憂えていた。「未来に負の遺産を残してはいけない。ならば自然に還るものをつくればいい。それがきっかけでした」

10年間の作付け試験でデータを蓄積

カンショ畑。奥が「エコちゃん」。すでに分解が始まっている。
フィルムを食べるダンゴムシ

同社の生分解性農業用マルチフィルム「エコちゃん」は、土壌微生物によって水と二酸化炭素に分解される。120日で分解されるタイプは、一般的な野菜類の栽培期間で、収穫後は土にすき込んでしまえば、はぎ取りの作業も、廃棄物処理の費用もかからない。農業革命ともいわれるゆえんだ。

「時々、120日で分解しないケースがあり、土を調べてみると土壌菌が少ないんです。つまり、土が本来の力を失っている状態といえます」

門脇さんは、日本各地で市町村や農林振興局、JAなどの協力を得て10年間ひたすら作付け試験を続けてきた。逐一データを記録し、製品の改良、各方面への働きかけを行った。

その結果、大手メーカーが名前を連ねる日本バイオプラスチック協会の厳しい基準をクリアし「グリーンプラ」マークの使用も認められた「エコちゃん」ができあがった。「小さい会社だから細かい対応ができた。大手ではこうはいかない。その分、苦労も多かったですけど」と苦笑する。

海外の関心も高まるエコロジー資材

生分解性樹脂を使ったごみ袋。数年後には、通常保管でもボロボロに フィルムを製造する機械。高さ7mある

平成18年ごろから県内市町村からの視察、説明会の要望が相次いだ。どの自治体も廃棄されたマルチフィルムの処理に頭を痛めている現状がうかがえる。さらに、地球温暖化防止対策もあってアメリカ、韓国、台湾など海外からの関心も高い。

「製品価格は従来の約3倍。しかし、廃棄にかかる費用を含めて計算すると、わずかに高い程度。あとは、原料価格をいかに下げるかは私たちの企業努力です」

今後、環境にやさしい生分解性マルチフィルムを使った農作物として宮崎発のブランド化も視野に置く。宮崎から安心安全な農業を発信し、フィルムの利用も伸ばしたいと門脇さん。「宮崎は日本一農業に適した県。未来へこの環境をつなぎたい」とこれからに期待を寄せる。