北川湿原:延岡市北川町の家田地区にある家田湿原(18ha)と川坂地区にある川坂湿原(2ha)の総称。
     里山にあり人の営みと共生した水辺環境が特徴です。

国内最大規模のコウホネ群落

 北川湿原は絶滅危惧種の動植物が50種以上生息、自生する重要な里山です。花が咲いて実を結ぶ秋は、その深まりとともに景観が変わり散策と観察に絶好の季節となります。成崎聡さんの案内で、まずは家田湿原を訪れました。湿原は家田地区を流れる家田川一帯で、「やまんはな橋」付近が観察におすすめの場所です。お目当てはサイコクヒメコウホネ。スイレン科の希少植物で、宮崎県のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されています。橋の下流側を見ると水面は大きな葉に覆われ、その下からいくつも茎を突き出して黄色い花を咲かせています。1000株以上の大群落は日本ではここだけ。花は5月から11月の長い期間見ることができます。
 「カワセミがよくあの木にまっていますよ」と成崎さんが指さしました。運がよければ美しいコバルト色の姿を見ることができるそうです。

花や穂が織りなす秋の里山風景

 続いて、家田地区から車で5分ほどの場所にある川坂地区にやってきました。湿原内に入り川坂川沿いに歩くと、ピンクや赤の可憐な小花の群落に惹きつけられます。北川湿原の秋を代表する花、サデクサとナガバノウナギツカミです。赤茶色のガマの穂が群集する場所などもあり、多様な植物が初秋の景観をつくっています。川では球状の花をつけたナガエミクリを見つけました。
 

多彩なトンボに出会える

 トンボは里山で最も身近で観察しやすい昆虫のひとつです。北川湿原は「トンボの楽園」といわれるほど種類が多く、40種以上が確認されています。そのうち13種が絶滅危惧種で、代表的なのは5月から7月に見られるグンバイトンボです。中脚と後脚に「軍配」の形に似た白い膨らみがあるのが特徴で、日本の南限が北川湿原といわれます。家田湿原に集中して生息しています。
 秋の北川湿原では10種ほどのトンボを見ることができます。この日は小雨でしたが、ハグロトンボ、ベニトンボ、マユタテアカネ、クロイトトンボの4種を見ることができました。「トンボには縄張りを持つ習性があるので、同じ場所に来れば同じトンボをまた見ることができますよ」と成崎さんが観察のポイントを教えてくれました。
 豊かな生態系と植生に恵まれた五ヶ瀬川下流域の里山では多様な動植物を見ることができます。「ガイドブックなどで下調べして行くと、より観察が楽しめます」と成崎さん。動植物を採取しない、持ち込まないというマナーも守って観察に出かけましょう。

参考/のべおか里山種ガイドブック(延岡市)、川坂川を守る会HP http://kitagawashitsugen.com/ 

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