「宮崎の海で特にサンゴが見られるのは串間市沿岸、日南市大島周辺、延岡市島野浦島周辺になります。適度な水温(冬の平均水温が約18度以上ぐらい)、台風の接近が少ないなど、サンゴに適した条件が揃っているからです。日南の大島周辺には約100種前後のサンゴが生息しているんですよ。」と語るのは宮崎大学農学部海洋生物環境学科教授の深見裕伸さん。
 ところが近年、このサンゴに異変が起こり始めています。オニヒトデの大発生によりサンゴが食べられ、数十年かけて育った美しいサンゴが姿を消し始めているのです。オニヒトデは、多数の腕を持ち、体全体が鋭い棘で覆われ猛毒を持っています。棘に刺されると激しい痛みや腫れが生じ、ひどい時には呼吸困難などの激しい症状を起こすほどです。
 オニヒトデはサンゴに付着し、自分の胃を体の下側にある口から外に出し、サンゴを直接消化吸収していきます。食べながら移動をし、食べられたサンゴは白くなって死んでしまうのです。オニヒトデは2011年に串間市沿岸で大発生しましたが、このことがきっかけで串間市沿岸に九州最大規模のサンゴの群落発見に至りました。オニヒトデはサンゴが大好物で、サンゴがないところでは生きていけない生き物です。サンゴが全滅するとオニヒトデも死んでしまいます
 「日南市大島の海は透明度も高くサンゴが多く美しい海です。しかしオニヒトデの大発生により、サンゴの6割位は食べられ、食べられた後は白く無残な姿になっています。潜ってみるとサンゴの減少を実感しますよ。」と語るのは日南海岸サンゴ群集保全協議会の福田道喜さん。
 協議会は宮崎県、串間市、日南市、漁協、ダイビング協会、宮崎大学などが参加し2013年に発足、サンゴの保全と活用を議論・実行する場として活動しています。「オニヒトデは今駆除しておかないと、幼生をばらまきながら北上し、どんどん広がっていきます。サンゴは、海のオアシスと呼ばれています。サンゴがいることで、周辺海域の生物が多様になり、観光はもちろん、漁業にとっても重要であることが分かっています。サンゴの働きを考えるとオニヒトデの駆除はやむを得ないことだと考えます。」と深見さん。協議会では月に1回程度海に入り、オニヒトデの駆除を行っています。オニヒトデは水深5〜15メートルあたりにいるサンゴの裏側や隙間に入り込んでいるため、見つけにくく、棘で覆われた体は長いカギでなければさわることができません。注意を払いながら、カギの先に引っ掛。けて捕獲用の網に入れ海上に持ち帰るというのが駆除の方法です。大きなもので直径が40センチほどのものもとれます。
 取材の日は、9名のダイバーで約1時間程度潜り、なんと43匹を捕獲しました。「地道な作業ですが、やっていかなければサンゴは減っていきます。海を守るために続けていきますよ。」と福田さん。
 協議会では海の美しさや現状を広く知ってもらうために、シンポジウムや写真展なども行っています。また、ダイビングライセンスをお持ちで、サンゴの保全等に興味がある方は、協議会の活動に参加もできます。  

Copyright© 2020 ecoみやざき All Rights Reserved.