巨木が放つ生命力
 保護林は、北郷町北河内の県道33号から林道を車で3分ほど登った場所にあります。駐車場からすぐ約300mの遊歩道があり、ドライブ中にも気軽に立ち寄れる散策コースです。保護林に足を踏み入れると、次から次へと現れる巨木に圧倒されます。最も高い木は樹高38m、最も太い幹の直径は128㎝。すっくと伸びた幹を見上げると先端までは遥か遠く、幹に触れると荒々しくも温かみのある感覚を覚えます。品種によって色や材質が異なるという飫肥杉。「トサグロ」「エダナガ」「アカ」など品種の案内板が、興味を深めさせてくれます。約400年の歴史がある飫肥林業。明治11年の植林当初は約56haあったこの造林地は、昭和16年、林野庁の「学術参考保護林」に指定され、このうち5haが残り、現在も保存されています。保護林内には3本の調査木があり、保護管理を行っている宮崎南部森林管理署が直径と樹高を計測。樹高が毎年約6㎝ほど生長しており、今なお成長を続ける飫肥杉に強い生命力を感じます。「台風の多いこの地域で、これだけの木が残っているとは素晴らしいこと」と同管理署長の安達寛己さん。樹脂が多く弾力に富んでいることから、造船用の弁甲材として活用された飫肥杉。141年の歳月を耐え、倒れることのなかった木が1157本もあるという事実が、飫肥杉のしなやかで丈夫な性質を物語っています。

常緑広葉樹と織り成す美しい景観
 保護林内の遊歩道には飫肥杉のウッドチップが敷き詰められており、フカフカと心地よく歩くことができます。この保護林の特徴は、杉がまばらに立ち並び、その間隔が4~5mと広いことです。杉の間にはクスやアオキ、イチイガシ、ヤブニッケイをはじめとした高木、低木の常緑樹があり、人工林でありながら自然林の表情を持つ、独特の林相です。規則正しく植えられた周辺の杉林と比べると、その特徴は明らか。林の中には、木漏れ日が柔らかく差し込みます。独特の景観が作られた背景には、飫肥林業ならではの植林法があります。杉の穂を“直挿し”で植林し、その植え方は、密植に対して、まばらに植える“疎植”。間隔を広くとることで、弁甲材向けの太い木に早く育ちます。「保護林となり全ての立木の伐採が禁止されたため」自然に常緑樹が育ち、このような景観が作られました。飫肥林業の歴史を知ってから歩くと面白く、保護林の魅力がより高まります。「地域の誇りである飫肥杉。その歴史を伝えるこの場所を、多くの人に知ってほしい。」と安達署長。飫肥杉に加え、多彩な植生も魅力の保護林は、静寂の中に樹木の持つエネルギーが満ちた、癒しの場所です。

Copyright© 2018 ecoみやざき All Rights Reserved.